- - - - - - - - - - - - - - - - - - -
箱詰めされて誰が敵で味方かわからないという設定で始まるお話。手錠をされていたり床に血を流して突っ伏していたり携帯電話が落ちていたりと狙いすぎ感を開始数分で感じることであろう。ただその数分後にはいわゆるサスペンスとは全く別方向の趣旨の作品であることがわかる。まず全員が初めからハイテンションである。何もわからない状態で何を喚いているのか動機が不明である。これは記憶喪失になると本来のエゴが出てしまうというメッセージなのかもしれない。とにかく落ち着いてほしい。そして彼らは考えることをしない。やみくもに喚き散らしていきあたりばったりの発言をしているだけで推理要素は皆無である。しかしそれは推理を促すような小出し具合なのである。それにも関らず、名前すら忘却する記憶喪失にも関わらず断片的に思い出される都合のよい光景の中にもう答えは出ているのであり、視聴者に推理をさせる気など毛頭ないことがわかる。つまり何が作り手の目的なのかが前半はわからない。そしてシチュエーションからして内部の敵を探すことに主眼があるのではと思いがちであるが、中盤からはそれまでのやりとりを無視するかの如く外部の敵退治に皆専念するのである。もう何が何だかわからない。だれが敵でどう動くのが最善なのか普通考えるだろう、などとサスペンスの常道を考えてはいけない。彼らは何に導かれているのか知らないが一致団結をみるのである。そして後半になると主眼がそこになかったことがはっきりと宣言される。内容はネタばれになるので伏せるが、あまりにこれまでと関係がないどんでん返しのどんでん返し要素が用意されているのである。「どうだ!」と言わんばかりの謎めいた終わり方をするのであるが正直前後と何の脈絡もないどんでん返しと謎めきなど単発ネタでしかなく非常にしょっぱい。カメラワークも初めのシーンから頑張ってとりました!どや!と言わんばかりの嫌味さが伝わってくること間違いなしである。時間は短めなのでシチュエーションの無駄遣いを楽しむ暇つぶしとして見てみてはどうでしょうか。壊れた携帯電話は何の意味があったのだろうか、いまだにわからない。
PR
この記事にコメントする